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12月フォーラム(第362回)古代ゲノムが解明する日本人の起源

開催日時 2023年12月13日(水) 
18:00〜19:00
※終了後19:00分~20:00に懇親会を実施します。
講師 篠田 謙一
独立行政法人 国立科学博物館 館長
配信対象 千里ライフサイエンスクラブ会員(年会費2,000円)
会員以外の皆様にもお申込みいただければ3日間限定で録画配信

講演要旨

文字記録のない古代の集団の成り立ちや周辺集団との近縁関係は、これまで人骨の形態学的な研究をもとに調べられてきた。しかし、20世紀の終わりから始まる分子生物学の爆発的な発展によって、古代試料に残されたわずかなDNAの分析ができるようになると、人類集団の起源と成立の研究は新たな段階に入ることになった。この技術革新によって、21世紀以降に出土した人骨については、骨の形態学的な研究と共にDNA分析を行うようになっている。特に2010年以降には次世代シークエンサが実用化し、それまでは母系に遺伝するミトコンドリアDNAの分析に留まっていた研究が、膨大な情報量を持つ核ゲノムの解析まで行うことができるようになり、より多くの情報を得ることが可能になった。

人骨のDNA分析は、系統や血縁といった情報に関しては、従来の形態学的な研究とは比較にならない精度で、しかも数多くのサンプルから情報を引き出すことが可能である。そのため、特にこの分野の研究に次世代シークエンサを用いるようになって以降、ホモ・サピエンスの誕生の経緯や地域集団の成立に関して、従来の学説を覆す研究が次々に発表されている。この分野の研究を30年以上主導したスバンテ・ペーボ博士に2022年のノーベル賞が与えられたことは記憶に新しい。 本発表では,最新の古代ゲノム研究が明らかにしつつある日本人の成り立ちについて、主として縄文人と弥生人の関係を中心に解説する。

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