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1月フォーラム(第363回)蝶が見る色の世界

開催日時 2024年1月11日(木) 
18:00〜19:00
※終了後19:00分~20:00に懇親会を実施します。
講師 蟻川 謙太郎
総合研究大学院大学 統合進化科学研究センター 教授
配信対象 千里ライフサイエンスクラブ会員(年会費2,000円)
会員以外の皆様にもお申込みいただければ3日間限定で録画配信

講演要旨

私たちの3色性色覚の基礎には、青、緑、赤の 3 種の色センサー(網膜視細胞)がある。昆虫 の複眼にはどんな視細胞があるのか? そもそも昆虫に色は見えているのか? 色覚が証明 された最初の昆虫はミツバチで、これは 20 世紀初頭の研究である。以来、1970 年代までにミ ツバチ色覚の研究は大きく進み、複眼には紫外、青、緑の視細胞が見つかった。紫外線が見え る反面、赤は見えていないのである。実際ミツバチはめったに赤い花を訪れない。 しかしチョウ類は赤い花をよく訪れる。アゲハの複眼に細い電極を刺してみると、紫外・青・ 緑のほか、紫・赤・広帯域の計6種の視細胞が見つかった。チョウなら複眼はみな同じかと思 いきや、実は種によって全く違うことも分かった。ヒメシロチョウの複眼にはミツバチと同じ 3種、アオスジアゲハには 15 種もの視細胞がある。オスとメスで違う場合もある。 実際にチョウに色が見えているかどうかは、行動実験を通してチョウに直接“聴く”必要が ある。単色光を学習させて求蜜行動を調べた結果、アゲハの色覚は紫外・青・緑・赤の4色性 で、しかも識別できる波長の細かさは人間に匹敵することが分かった。一連の研究をどのよう に進めてきたか、その過程が分かるようにお話ししたい。

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