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フォーラム
3月フォーラム(第365回)台湾客家の動物文化と生命倫理
開催日時 | 2024年3月14日(木) 18:00〜19:00 ※終了後19:00分~20:00に懇親会を実施します。 |
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講師 | 野林 厚志 先生 国立民族学博物館 学術資源研究開発センター 教授 |
配信対象 | 千里ライフサイエンスクラブ会員 (年会費2,000円) 会員以外の皆様にもお申込みいただければ3日間限定で録画配信 |
講演要旨
台湾はオーストロネシア系の先住民族、早くから台湾に移住した漢族、第二次世界大戦後に大陸中国からやってきた外省人と、多様な民族構成をもつ。衣食住をはじめとする日常生活の大半は現代化、均質化しているものの、信仰や儀礼にはそれぞれの民族らしさが表れることが少なくない。本講演では、客家の人々の祭礼である義民節を紹介し動物文化をめぐる現代的な課題を通して紹介する。
客家は広東、福建、江西、四川に居住する漢族で、台湾には17世紀から18世紀にかけて移住してきた。現在、台湾の総人口(約2300万人)の約12%をしめる。台湾の客家には義民節とよばれる独特の祭礼がある。18世紀の終わりに福建系漢族の反乱の鎮圧に客家が尽力したことを記念し、客家の犠牲者を慰霊する祭礼である。旧暦7月20日に新竹県の褒忠亭で行われる義民節は台湾の中でも最大規模であり、各地の親類縁者が集まり、客家の人たちの紐帯を強める機会となっている。義民節では数年かけて肥育したブタが奉納され、共食に供される。近年、奉納される「神豬」に対し、生命倫理や動物の福祉の観点からの批判が強まっている。
民族の動物文化が倫理という外部からの価値観とどのように折り合いをつけていくのかを考える。