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7月フォーラム(第347回)IL-6 物語;リウマチからコロナへ

開催日時 2022年7月14日(木) 
18:00~19:00
講師 岸本 忠三
(公益財団法人)千里ライフサイエンス振興財団 名誉理事長
配信対象 千里ライフサイエンスクラブ会員(年会費2,000円)

講演要旨

血液細胞をはじめとして、60 兆個に及ぶ生体の細胞が情報を伝達しあう分子、それがサイトカインと呼ばれるものである。インターロイキン-6(IL-6)は、そのサイトカインの代表例の1 つである。我々の体のどこかに炎症や癌が出来た時、このIL-6 が増加し、CRP や血沈といった検査結果が上昇する。このように、IL-6 は生体に炎症を引き起こす“炎症性サイトカイン”と呼ばれる分子であり、リウマチをはじめとして多くの炎症の原因分子である。従って、IL-6 の作用をブロックすることによって炎症を抑えることが出来る。IL-6 受容体をブロックする抗体―アクテムラ―を用いることによって、リウマチは改善する。
興味あることは、リウマチや血管炎のような慢性の炎症のみならず、IL-6 の作用をブロックすることは敗血症のような急性のショック症状の改善ももたらす。
例えば、コロナ感染による重症の肺炎ではIL-6 の増加が起こり、これが血管の透過性を亢進させ、血液凝固を引き起こし、いわゆる“サイトカインストーム”と呼ばれるショック状態を引き起こす。これに対してIL-6 の働きをブロックするアクテムラは、効果を発揮し患者を死から救う。
ここでは、IL-6 の発見からアクテムラの開発、いくつかの病気に対する治療効果について語る予定である。

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