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6月フォーラム(第357回)人新世の意味をゴリラと考える

開催日時 2023年6月14日(水) 
18:00〜19:00
※終了後19:00~20:00に懇親会を実施
講師 山極 壽一
総合地球環境学研究所 所長
配信対象 千里ライフサイエンスクラブ会員(年会費2,000円)
会員以外の皆様にもお申込みいただければ3日間限定で録画配信

講演要旨

現代は、人間の影響が地層にはっきりと記録される「人新世」の時代である。長年ゴリラを見続けてきた私の目からは、明らかに文明の行き過ぎだと見える。地球環境は生命の誕生以来、多様な生命の営みと関係によって作られてきた。それが、近年の人為による大規模な開発によって大きな変化にさらされている。このままでは人間が住むのに適さない環境になってしまいかねない危険に直面している。その主たる原因は、私たちが進化の頂点に立つと自画自賛し、人間の都合のいいように環境を作り変えてきたことにある。これまでのように新しい技術にたよる考えを改め、文明の分岐点に立ってこれまでの間違いを正し、新たな思想のもとに世界を組み立てねばならない。そのためには、人類がゴリラとの共通祖先からいったい何を受け継ぎ、700万年の進化の過程でどんな特徴を新しく獲得したのかを理解せねばならない。現代人の文明は1万2千年前から始まった農耕と牧畜に端を発するが、それは人間の本質には程遠い。今、私たちが直面しているのは進化と文化のミスマッチであり、これからは人間の本質に合った文明を築かねばならないということである。それには人間の世界を外から眺め、進化の時間をさかのぼるゴリラの目が必要である。

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