イベント・セミナー
フォーラム
11月フォーラム(第361回)接木の研究で拡がる植物科学
開催日時 | 2023年11月6日(月) 18:00〜19:00 ※終了後19:00分~20:00に懇親会を実施 |
---|---|
講師 | 野田口 理孝 京都大学大学院 理学研究科 生物科学専攻(植物生理学)教授 |
配信対象 | 千里ライフサイエンスクラブ会員(年会費2,000円) 会員以外の皆様にもお申込みいただければ3日間限定で録画配信 |
講演要旨
接木は、果樹の増殖や野菜類を土壌病害から守る目的で、2000 年以上前から現在まで広く活用される園芸・農業に重要な技術です。果樹のクローン増殖や、野菜類の土壌病害への抵抗性獲得のために接木は使われ、我々の生活とは切り離せない技術です。接木は、二つの植物を一つに接ぐことでそれぞれの有用形質を共に発揮させる手法で、地上部をなす植物(穂木)と地下部の根をなす植物(台木)からなります。地上部を栽培品種とし、地下部に土壌病害や土壌ストレスに耐性を持つ品種とすることで、地上部の栽培品種を健全に育成することができるというわけです。化学肥料や農薬の使用を抑え、生物多様性の確保にもつながる技術となりえます。
接木を生物学的に捉えると、傷口の再生と見なすことができ、組織の傷応答、細胞の増殖、細胞接着、組織の分化といった生物システムが発揮されています。接木の研究は、植物の発揮する優れた生物システムを科学的に解き明かすことができると考えています。
地球規模の気候変動によって、食料・エネルギーを供給する植物の存在も脅かされています。
接木の研究を通じて植物科学を進展させ、社会課題の解決への糸口を探ります。